尹健次氏スピーチ(神奈川大学教授)

 

 

(ゆん・ごんちゃ) 
 1944年京都生まれ。東京大学博士課程終了。現在、神奈川大学教授。専門は近代日朝関係史・思想史。著書に『孤独の歴史意識』『「在日」を生きるとは』『民族幻想の蹉跌』『きみたちと朝鮮』など。


 アンニョンハシムカ。
 今日こうして、統一ということを1つの目標として、ワンコリアフェスティバルでお話が出来ることをうれしく思います。時間が短いですので、私の思いの一端を述べさせていただきます。

 南北首脳会談の合意が発表されまして、ちょうど明日と、これが先ほどのお話ですと、一日伸びた、ということですけれども、やはり私は、統一というものは1つの目標であるだろうと思っています。しかし、私はまた逆に、統一というものは目的であるけれども同時に、1つのプロセスでもある、そういうふうに思っています。私自身は1つのプロセス、そしてなかんずく、日常、日々の闘いというと少し大げさではありますけれども、そういう生き様ではないかなと、思っています。

 今日はいろんな方がお話なさいます。後で、金石範先生とか、梁石日先生がお話なさることになっていますけれども、やはり私たちの先輩、そういう方を見ていても、また、特に植民地時代から解放、独立、カッコ付きの独立ですけれども、そして朝鮮戦争という、激動の歴史の中で、私たちの先輩がどのように生きてきたかというと、やはりそれは、統一はなされなかったですけれども、1つの日々の闘いであったんではないかなと思っております。私自身もそういう意味で、日々いかにして生きていくかというと、大きな話になりますけれども、出来るだけそういう目標に向かって日々の生活をきっちりしたいというふうに心がけているつもりです。

 そのことは、こういう席でこんな話をするのも何ですけれども、首脳会談が行われるということに、単に歓喜の声を挙げるつもりもありませんし、場合によって、挫折した、失敗したということになっても単に落胆することはない、というふうに私は心がけているつもりです。

 もちろん、統一というものは私の家族もそうですし、皆さんの多くもそうでしょうけれども、一番の問題は離散家族の問題ですし、それから往来の問題、そういうことがあると思います。そういう問題は、日々の努力によって、少しずつ解決していけるのではないか、と私は思っております。また、そういう雰囲気といいますか、状況が少しずつ出てきてるんではないかなと思っています。

 1週間前、金曜日ですが、ソウルで、統一、あるいは朝鮮戦争50周年ですので、そういうことをめぐるシンポジウムがありました。「韓国戦争をいかに越えるべきか」という題名でした。日本語で言えば、朝鮮戦争ということになるんでしょうけれども、一番最初に基調講演をされた、姜萬吉先生は、その題名自体に抗議をなさったというか、異議を唱えられました。「韓国戦争」とはいったい何ぞや、誰がそういうものを付けたんだと。民衆運動がこの程度では困るんだと、韓国という国家、そういうものを付けてそれをどういうふうに終えるんだ、終えさせるんだ、という議論をするとなると、それは当然、戦争の発端は誰に責任があるのかというような議論になっていかざるを得ない。われわれはそういうのを越えていかなくちゃならないんだと、そういう話をなさいました。したがって、暫定的にそれは、「6・25戦争」として、国際的に通用しないかも分かりませんけれども、そういう名前で呼ぶべきではないかとそういうお話をおっしゃっていました。

 また、翌日、土曜日には、やはり同じソウルで、「韓日民族問題学会」というものが開かれました。これは韓国の各地に居住する韓国人学者が主として、在日同胞の勉強をするんだ、研究をするんだと、そして、韓国および日本、さらには韓日、さらには全世界の海外同胞の民族問題、アイデンティティの問題、いろんな問題を研究していくんだ、という学会が創立されました。

 まあ、いろんなことがありますけれども、そういう意味で、かなり統一に向かうプロセスは整ってきてるんではないかなと思います。

 私自身に関していえば、やはりそういう先輩たちの苦労の、あるいは、1つには血を流したそういう業績といいますか、生き様の上にたって生きていきたいな、と思っています。

 その場合、1つ注意しなくちゃいけないのは、やはり、民衆と言いますか、民衆という言葉も使い方によっては非常に怖い言葉でありますけれども、北とか南とかいうような、国家に出来るだけ依存せず、そういうところに逃げ込むというようなことをしないで、出来るだけ皆さんと一緒に、1人の朝鮮人として、あるいは同胞の一人として、いろんなことを頑張っていきたいなと思っています。
 ありがとうございました。



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