梁石日氏スピーチ(作家)

 

 

(やん・そぎる) 
 1936年大阪生まれ。主な著書は『タクシードライバー日記』『夜の河を渡れ』『子宮の中の子守歌』『断層海流』『雷鳴』『Z』など多数。『タクシー狂躁曲』は崔洋一監督によって映画化されたが、映画『月はどっちに出ている』は映画賞を総なめにした。また『夜を賭けて』は直木賞候補作となり、『血と骨』で山本周五郎賞を受賞。


 今度の会談は、機が熟しているんじゃないかと思います。1972年の7月4日に、「7・4声明」が発表されました。この時は本当に興奮しましたけれども、振りかえってみますと、5月2日に、韓国の中央情報部の李厚洛情報部長が、朴正煕大統領の命令を受けて金日成首相と会談をして、7月4日の南北共同声明になったんですけども。その年の2月11日に、隠密行動であの有名なキッシンジャー国務長官がずっと裏工作をして、そして、世界でも最も強固な反共主義者といわれていたニクソン大統領が周恩来首相と毛沢東首相と会って、米・中国交樹立という政治的なことが起こったわけです。これは日本も頭打ちだったわけですから、韓国は取り残されるのではないかと、思ったんですね。

 そういう影響があって、たぶん朴正煕大統領は、李厚洛情報部長を派遣したと思うんですけども。その後朴正煕大統領は戒厳令を布きます。憲法を停止して国会を解散しちゃうんですね。こうなると「7・4南北共同声明」は破棄される。今度は94年にその機会があったんですね。だけど残念ながら、金日成主席がなくなった。ということで、考えてみると「7.4南北共同声明」から28年になるわけです。難しい状況はいまでも色々あると思います。ですが、28年前と比べますとその間の世界は激変しているんですね。東欧、ソ連の社会主義が崩壊したとか、日本のバブルは崩壊してそこに、国際的なマネーゲームが頂点に達する。北朝鮮は非常に困難な状況にある。だからこそ、この困難をどうにかしないといけないというのもあると思うんですけどね、そう言う視野で見ますと、機は熟してきたんではないか、と思うんです。もちろんすぐに統一というわけにはいかないと思いますけど、歴史の流れから言いますと、一度扉を開くとそれを閉めなおすというのは、なかなか難しいんじゃないかと思うんですね。この扉は、今度の首脳会談で開かれる事になれば、そこに水は流れるように流れていくんじゃないかと思うんです。ただ、金儲けのはなしが先行していると思うんですよ。北朝鮮は、労働状況は酷だし、低賃金だし、良質な労働力がある。そこで生産すれば金は儲かるみたいな話ですね。韓国はまだ社会資本が非常に乏しい。そこに経済発展のための巨大な市場が生まれると。こういう取らぬ狸の皮算用みたいなところで南北首脳会談が進んでいるのではないか。ウリナラサラムは、取らぬ狸の皮算用が多いんですよ(笑)。これで失敗して、借金して、どっかへ逃げちゃうって言うのが多いんですが、僕のことを言ってるのではないんですが(笑)。ですから、会談はそういうのではなくて、人的な交流を進めた方がいいと思うんですね。そうしないとおかしくなる可能性があると思うんです。経済といういうのは流れがつくとなかなか止められなくなるというのがあると思うんです。北朝鮮もこれを恐れてると思うんです。ですから経済的な交流というよりも、文化的なレベルでの交流をした方がいいと僕は思っています。

 先ほどの石原発言ですが、私も記者会見で、民族皆殺し作戦である、ジェノサイドであると言いました。ですけどね、今の日本社会をみますと、超高齢化社会の真っ只中で、20年後には二人に一人は老人になっちゃう。誰がこれを支えるかということになる。少子化で労働力は絶対数足りなくなってくる。これは統計の数値ではっきりでているんです。これは変えられない事ですね。20代の人が20年後には40代になってる。変えられない事です。30年後にはもっと厳しい状況になってきます。労働者は絶対足りなくなってきますから、日本の生産は減っていくわけですから養っていけないわけです。ですから、残された方法は一つしかないんですよ。それは外国人を入れていくことです。一千万二千万の単位で入ってもらわないと日本の経済基盤も大変になってくる。そうしないと日本の社会を支えられないようになるんですよ。にもかかわらずあの石原発言ですから全く二律背反した話です。今の日本の指導者はその程度のレベルでしかないということですね。ある意味で非常に危険な事ですね。

 我々にとって危険というよりも、日本人自身にとって危険であると。今度の選挙についてですが、なにも変わらないから今回も変わらないんだという話がよくありますが、だけど、これはものすごいスピードで来ていますので、この反響を僕は相当期待しています。ここに日本の方がおられましたら今度の選挙はかなり重要な意味を持つのではないかと思いますので、じっくり考えて、別に党にいれろというわけではないのですが。今度の選挙は在日にとっても非常に大きな意味を持っているわけです。この選挙が明けて、在日にも地方参政権が与えられる可能性が高いと思いますので、今度の選挙と南北首脳会談は、いよいよ私達が目指しているというか、未来にある可能性を示してくれると思います。期待しています。

 


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