金石範氏スピーチ(作家)

 

 

(きん・そくぼん) 
 作家。著書に、『烏の死』大作『火山島』など。大佛次郎賞受賞。


 私が、ワンコリアフェスティバルに参加したのは今日が初めてです。パンフレットの取材で一、二回寄稿したことはありますが。詩・踊りと、素晴らしいフェスティバルですね。なによりも主催者の鄭実行委員長とスタッフの方々の情熱とご苦労に対して、感謝と敬意を表します。雨の中お集りくださった皆さんと、私もここに参加できる事を嬉しく思います。

 私も70代半ばに達しております。今度の首脳会談について、鄭敬謨先生にも会いましたが、我々の世代にもいろいろな思いがあります。が、昨日新聞に、石原慎太郎東京都知事が、自分の「三国人発言」に対して、外国人たちの批判は、被害者意識ではないのかと、いう意見があったんですよ。トップ会談への想いを一言二言言った後、石原発言について述べたいと思います。

 今度の4月10日の合意の中で重要に思うのは「7・4共同声明」を再確認して、7・4の精神をもう一度見なおして南北合意書を考えると言う。「7・4声明」「不可侵と交流・協力合意書」二つの基本的な合意を持ちながら今まで何十年たって、ようやく。ことわざに「一杯の酒でハラは膨れない」「始まりしは半ば」というものがあるのですが、お互い会う、会う事が38度線を越えるわけです。目上である金大中さんが訪問するのですから、金正日さんは礼を持って韓国に出向くと思います。

 ところで、石原知事は「三国人発言」について、批判するのは神経質な被害者意識というのですが、私は、南北のトップ会談と関連して、自衛隊が行進するところで、この頃「三国人」の犯罪が非常に凶悪になっていると言っているのです。都知事が自分が一国の大統領になったつもりか、日本の軍隊に叱咤激励をしているのです。ですが「三国人」ではなく、日本人が妄想をかきたてるデマを流している。石原さんたちが被害妄想になってると思うのです。日本の軍隊が行進する場でそういったわけです。

 彼は、1923年の関東大震災の時に何が起こったか頭に浮かばなかったのだろうか。6600人の朝鮮人、大杉栄のような社会主義者も虐殺されたのです。いわゆる戒厳令が布かれ、自警団も出て朝鮮人を殺した。我々は小さい時にその話を聞きましたが、一般には戦後までわからなかったですよ。今は、在日の研究者によってかなりの発表が出ているのですが。ところで虐殺、暴動は誰が起こしたのか。植民地下において日本人に被害意識があった。朝鮮人にひどい事をして、人間以下にあつかってきたから何を起こすかわからんと。それで、デマが大きな雲のように関東の上を包んで、7千人近い人間が無残に殺された。それを日本の政治家、歴史は、国家的に直視してきたか。遺憾の意を表した事があるか。完全に今まで沈黙してきたんです。これは歴史的にありえないことです。そういうところで石原発言。「震災があれば三国人が暴動を起こすだろうから軍隊を出動させよ」という発言ね。これは誰に向かっていってるんでしょう。暴動は誰が起こすのか。日本の右翼を見てみなさい。日本が天皇を中心にした神の国だとか、国体とか。今の南北首脳会談に対して間接的に刺激をしている政治的な発言なんですよ。かつての日本の支配層達の考えがそのまま残ってるわけです。そういう雰囲気が今も日本のあちこちで生まれている。私自身も「三国人」の一人だから、私自身が被害意識を持っていることになる。私はそういうのはもっていない。

 最後にいいたいのは、朝鮮は統一しなければならないということです。かりに関東大震災が起こった当時、朝鮮の独立があったならどうであったか。虐殺はおこらない。

 日本も公然と朝鮮人虐殺をおこしていないはずです。石原さんや右翼は邦人保護として自衛隊の海外派遣を口にします。軍隊でよその国に土足で入っていくか。すると、在日朝鮮人になにかあればむこうからも軍隊が入ってきますよ。今、我々が1920年代の朝鮮人、韓国人とは違う。いくら南北が二つに分かれておっても、アジアは、戦前の大東亜共栄圏とは違う時代なのです。それなのに何故、あの発言はどうして支持者を得ているのか。そういう事が、この南北の会談とどのような関係を持っているのか、日本は本当にこれを心の中で支持しとるのかどうか。三国人発言し対して批判的な事をいうと被害意識を持っているというが。被害妄想を持っているのは日本人なんですよ。

 


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